未だに売れてる謎2〜萌えに反応しない人々の心もつかんだか

◆(18時頃追加)昨日の分のまとめの続きののりで壮大なタイトルをつけてしまった割には、書き表してみると簡単にはまとまらなかった。そこで、いくつかの視点から述べてみたいと思う。

  • 15万部

id:sosu:20040207では、もえたんを買うのはオタクだけと結論付けられている。しかし、本当にそう結論付けて良いのかという疑問が残る。もえたんの売上15万部(別冊もえたん裏表紙裏の広告)という数字はそれだけで達成できる値なのかということである。コミックマーケットの一日の来場者数と同じくらい(http://www.comiket.co.jp/info-a/C65/C65AfterReport.html)という値から何か考えられるだろうか。
…しかし、今はまともな分析が思いつかないので、問題提起にとどめておく。

  • ある知人に見せたときの反応

萌えに反応しない人たちが買うのかどうかを考えるには、実際にそういう人たちがもえたんに対してどのような反応をするのかを見てみるということが考えられる。そこで、もえたんはもちろんのこと、萌えのもの字も知らないような某知人に、もえたんを見せた時の反応を紹介する。

知らないかどうか確認したらやはりそうであった。ウェブでも見たこと無い、近所の書籍部にもなかったと言った。ちなみに、この実験を実施したのは1月の下旬。もえたんに理解を示す店員がいれば、間違いなく入荷してるはずの時期である。ウェブで知らないのはともかく、書籍に置いてないから知らないというのは、地域的偏在性を感じる。

    • 表紙のいんくたんに、引く。

とりあえず見せてみた反応。ここまで率直な表紙なのだから仕方が無い。しかし、ここで引き下がってはぽぽなの名が廃る。英単語帳なんだから、まずちょっとで良いから見てと頼む。

    • マンガかと思った、と発言。

この返答からわかることは、一般人(ここでは普段は萌えに反応しない人を指す言葉とする)は、外見からはありがちなオタク冊子、さらには18禁ものだと思われ、近寄ることすらままならない状態だとおもわれる。この時点では、「なにこれ〜?キモ〜い!」といっていたらしい女子高生と何ら変わりは無い。しかし、がんばってページを開かせると様子は変わる。

    • 適当にページを開いた後、increaseの例文にヒットした模様。

どうも彼はそれが気に入ったらしい。ここで着目すべきはこの単語の例文はまさに妹属性のものだったはずである。彼にはそもそも妹がなぜ増えるのか、どんな状況を描写してるのか、さっぱりわからなかったことだろう。単にあきれただけなのかもしれないが、彼をなんらかの、肯定的な意味で、刺激したことは間違いない。
ここで彼が妹的例文に刺激を受け、しかし否定的な方向に陥らなかったことは重要な意味を持つと考えられる。例えば、彼が「赤は3倍」などの比較的一般層に近い言葉のみに好感を示し、妹的素材に拒否感を示したのなら、そこで彼にとってのもえたんは終わりである。しかし、否定されなかったということは、少なくともまだ続きを読んでくれるということで、望みがつながるのである。

    • そのページに指を挟み、他の人にその例文を見てもらおうとする。

この動作。気に入ったページをマークしておこうという意図はごく自然なように思えるが、よく考えてみよう。もえたんの例文はエキセントリックなものばかりであり、どこを開いても出てくるのだから、マークしておく必要はないはず。つまり、彼はこの時点では偶然にその例文がおもしろかっただけと思っているわけである。もえたんに面白い例文があると聞いても、ほんのいくつかしか自分に合わないと思い込んでる人もいるのかもしれない。

    • 他のページを見始める。

この段階で彼にとってもえたんはかなり好意的な存在となっているだろう。かなりきわどいカットが一部存在するものの、全体的には表紙や個々の例文が全体の雰囲気を象徴しているので、そのひとつめを理解する壁を突破すれば実はたやすいのかもしれない。そして、元ネタ探しに奔走すると気づきにくいが、上述のように元ネタやその背景がわからなくても楽しめるものが実は多い(はず)ので、さほど引かれるはずは無いと期待する。

    • この例文って○○○○(元ネタ)のことかな?、と聞いてくる。

この言葉を引き出せたら、彼はもうもえたんのとりこだろう(ちょっと言いすぎか)。逆にいえば、例文の元ネタがなんとなくわかるからこそ、ちょっと探してみたくなったり、子供の頃を思い出したり、噂に聞くアニメ界を感じたりして、読み進むのだろう。元ネタ探しの時に、多くのアニメが該当するので特定できないというものが多くあるのは、そういう点で幅広い層を取り込むためだろう。それは狙って作られたものだというのは誕生秘話にもある。

    • とどめの表紙カバー。

このあたりでは、もえたんに好感をもったものの、まだ表紙絵のインパクトが気になってしまう程度だと思われる。そこで「やっぱり見た目がこれだからね〜」などと言ってきたところを狙って(あるいはわざとそう考えるように話題を仕向けて)、表紙を外してみせる。これでもう彼は感服したに違いない。もえたん広報には十分な役割を果たしたことだろう。

    • というわけで、

なんだか、一般人が買うかどうかという議論をしているうちに、一般人にもえたんをすすめる方法になってきていますが、当初の話題に戻りましょう。これらの状況から考えると、以下のようなまとめができると思われます。

    • もえたんの存在が知られていない地域がある。知れ渡れば十分な購買層になりうる。
    • 表紙にまどわされることがなければ、実はとっつきやすい内容・例文。
    • どのページを開いても、表紙や葉書までもつっこみどころがあるので、無理に特定のページを指定しておすすめする必要がない。
    • 元ネタ探しは楽しく、親近感を感じる。

これらのことから、もえたんの未来は明るいと言えそうです。もうひとつ、もえたんを語る上で欠かせない大学生協についても書く予定でしたが、ちょっと長くなりすぎたので、別の機会にまわします。もえたんマップが充実すればもっと説明しやすくなるかもしれませんし。